時の河を越えて、潔(ジエ)がやってきたのは高層ビルが立ち並ぶ近代。しかし、潔(ジエ)は都会に馴染むことができず、すっかり周囲から孤立してしまいます。そんな中、都会の移り変わりをレンズにおさめていたカメラマン・俊(ジュン)が、潔(ジエ)を介抱します。俊(ジュン)は、かつて潔(ジエ)が残した羽根を受け継いでいました。そして、潔(ジエ)の美しい住処を探し出すことを約束します。
俊(ジュン)と一緒に時の河を越えた潔(ジエ)ですが、もはや潔(ジエ)の故郷も、平和な世界ではありませんでした。文明化に伴い破壊されていく自然、そして次々に絶滅していく仲間たちの姿に、二人はショックを隠せません。俊(ジュン)は、思い出の羽根を取り出しますが、潔(ジエ)は、その羽根を再び俊(ジュン)に贈り返し、飛び立っていきます。
さらに時が流れ、博物館では、滅びゆく朱鷺のストーリーを学生に伝えています。
ある時、老人となった俊(ジュン)は、標本箱に納められた潔(ジエ)に思い出の羽根をつけます。すると潔(ジエ)は蘇り、俊(ジュン)と三度の愛をかわします。しかし、潔(ジエ)はもはや人間界にとどまることなく、朱鷺の仲間と共に飛翔していくのでした。
年老いた俊(ジュン)から大切にしていた羽根を託される学生たち。その学生たちが見つめる先には、このうえなく美しい朱鷺たちの群れが・・・。