古代――。ある村に天から舞い降りた朱鷺たちが、羽衣を脱ぎ捨て仙女の姿となって、渓谷で戯れていました。その光景に驚いた村の青年・俊(ジュン)は、中でもひときわ美しい朱鷺の潔(ジエ)に心を奪われます。初めは、恐れや不安を覚えた潔でしたが、やがて、それは愛となります。
潔は、俊と一緒に暮らすようになりますが、人間界は自分の居場所ではないと悟り、眠る俊の傍らに、自らの羽根を一本残し、羽衣をまとって飛び立っていくのでした。
時の河を越えて、潔がやってきたのは高層ビルが立ち並ぶ近代。しかし、潔は都会になじむことができず、すっかり周囲から孤立してしまいます。そんな中、都会の移り変わりをレンズにおさめていたカメラマン・俊が、潔を介抱します。
文明化に伴い破壊されていく自然、そして次々に絶滅していく仲間たちの姿。
ショックを隠せない中、俊は思い出の羽根を取り出しますが、潔はその羽根を再び俊に送り返し、飛び立っていきます…