トキは、万葉集などに「桃花鳥」と記され、中国でも「東方の宝石」、「吉祥の鳥」として親しまれてきました。また、学名は「ニッポニア・ニッポン」と呼ばれ、古来は日本列島の広範囲に生息しており、人里近くで暮らす姿が当たり前の光景でした。
明治時代に入ると、狩猟解禁による乱獲や生息環境の悪化により、トキは激減し、絶滅の危機にひんしました。日本、中国ともに国を挙げて保護活動に取り組む中、1999年に中国から中日友好の象徴として、つがいのトキ友友(ヨウヨウ)と洋洋(ヤンヤン)が日本に贈呈され、日本国内で始めて人工ふ化に成功しました。その後、飼育下での繁殖により数を増やし、現在は500羽程度まで増えています。
朱鷺の生息地である佐渡市では、いち早く「生き物をはぐくむ農法」と環境保全に取り組み、無農薬・無化学肥料による稲作やビオトープの整備などに地域ぐるみで努めてきました。
佐渡トキ保護センターでは、2007年に野生復帰ステーションを開設し、野生復帰に向けた順化訓練を開始。これまでにのべ490羽のトキを放鳥し、野生下での繁殖も増加しています。